こんにちは。JICA海外協力隊としてアフリカで2年、その後、大使館やNPOで「理想」と「現実」の両方を経験してきた、おぽきょです。
「国際協力なんて、自己満足だ」 「給料も安いし、キャリアも不安定。やめておけ」
そんな冷ややかな声を、あなたも耳にしたことがあるかもしれません。
正直に言って、その言葉は、半分は正しく、そして半分は間違っています。
この記事では、インターネット上のキレイゴトだけでは分からない、国際協力の現場で私が実際に味わった天国のような喜びと、地獄のような葛藤を、私の体験談として、本音で語ります。
この記事を最後まで読めば、あなたが本当にこの道に進むべきかどうかの、心の準備ができるはずです。
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Contents
私が味わった「天国」:お金では決して買えない、人生の宝物
国際協力の仕事で得られる最大の報酬は、お金ではありません。それは、あなたの価値観を根底から揺さぶるような、強烈な体験です。
宝物1:弱さを、強さに変えてくれた「人との繋がり」
アフリカ・カメルーンで活動していた頃、停電で真っ暗な夜、私はよくロウソクの灯りの下で、隣人のお母さんとおしゃべりをしました。言葉は拙くても、笑い合い、互いの家族を想う気持ちは、不思議と通じ合いました。日本では「当たり前」の便利さがない代わりに、そこには**「当たり前」の人の温かさ**がありました。この経験が、私の生きる力を何倍にも強くしてくれたのです。
宝物2:世界中にできた「第二の故郷」
任期を終えて日本に帰国する日、村の人たちが、歌とダンスで、涙を流しながら見送ってくれました。「いつでも帰ってこいよ」と。世界中に、心から「ただいま」と言える場所がある。これほど心強いことはありません。
宝物3:「何もない」から生まれる「創造力」
現場は、常に想定外の連続です。「ないもの」を数えるのではなく、**「今あるもので、何ができるか?」**と知恵を絞る毎日。この経験は、どんなビジネス書を読むよりも、私の問題解決能力と創造力を鍛えてくれました。
私が味わった「地獄」:心を蝕む、3つの葛藤
もちろん、厳しい現実も存在します。私が特に苦しんだのは、以下の3つの葛藤です。
葛藤1:「助ける側」という、無自覚な「傲慢さ」との戦い
赴任当初の私は、どこかで「自分が、彼らを助けてあげるんだ」という、無自覚な傲慢さを持っていたと思います。しかし、現地の人々は、私がいなくても、たくましく、豊かに生きていました。「本当に助けられているのは、自分の無知さに気づかせてもらっている、私の方じゃないか?」 その事実に気づいた時の、恥ずかしさと無力感は、今でも忘れられません。
葛藤2:「キャリア」と「孤独」の天秤
一般企業のように、決まったキャリアパスはありません。「このままで、将来大丈夫だろうか…」という不安と、常に隣り合わせです。周りの友人が日本で着実にキャリアを築き、家庭を持っていく中で、自分だけが世界で一人、取り残されているような孤独感に苛まれる夜もありました。
葛藤3:「正しさ」が通用しない、無力感
良かれと思って提案した計画が、文化や価値観の違いから、全く受け入れられない。時間をかけて築いた信頼関係が、些細な誤解で崩れ去る。自分の「正義」や「常識」が、いかに脆いものであるかを、何度も思い知らされました。
それでも、私がこの道を辞めなかった理由
では、なぜ私は、そんな葛藤を抱えながらも、この道を歩み続けているのでしょうか。
それは、カメルーンの村で出会った、あの光景が、今も私の心を照らしているからです。
私が現地の先生や隊員と一緒に作った、拙いフランス語の「手洗いの歌」。
ある日、市場を歩いていると、私を知らない子どもたちが、その歌を楽しそうに口ずさみながら、バケツで手を洗っていたこと。
いつも「ヒーホー!(中国の挨拶を真似ている)」と茶化してくる子どもたちが、「コンニチハ!」と関西弁で言えるようになったこと。
私の存在など、もう関係ない。 私が伝えたかった小さな「種」が、コミュニティの中に根付き、彼ら自身の力で、新しい「日常」になっている。
その光景を見た時の、胸が張り裂けそうなほどの、静かな感動。 この瞬間に立ち会うために、私はこの仕事をしているんだ。そう、心から思えたのです。
まとめ:あなたは、天国と地獄、どちらに心を動かされますか?
国際協力は、誰かのためでありながら、自分自身の「傲慢さ」や「無力さ」と、嫌というほど向き合う道でもあります。
この記事で紹介した「天国」と「地獄」、その両方を読んだ上で、あなたの心は、今、どちらに、より強く惹きつけられていますか?
もし、あなたが「地獄」の葛藤に怯む気持ちよりも、「天国」の瞬間に心を震わせる気持ちの方が、少しでも上回っているのなら。
あなたには、この道に進む資格が十分にあります。 その葛藤の先にある、お金では決して買えない「宝物」を探す旅へ、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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