深夜の匂いは特別。朝よりもちょっと二酸化炭素が濃くて、靄がかかったように夢心地。体内のアルコールさえも少々の余韻を残して頭は妙に冴えわたる。夜の弱い私にとっては、そんな時間を過ごせることは稀である。

それでも昨日は夜更かしをした。あとから、心が共鳴していたんだと気づいた。好きな本の話。文章で表現すること。昔の恋の話。波瀾万丈な海外駐在の話。仕事の話。未来の話。どれも、「そうそう、こういう会話がしたかったんだよ」と脳髄が思い切りうなずいているのがわかるような時間だった。「強制的な思考と対話」と「集団行動」を強いられ続けた職員合宿の後、ようやく解放されたのはクリスマスイブからクリスマスに日付が変わる時間だった。なるほど自由は夜にしかない。

翌日が仕事でも、寝不足になったら疲れることがわかっていたとしても、

昨日終電で帰るという選択はしなかっただろう。

二次会に大概の人たちが帰っていく中で、京都タワーのクリスマスカラーの照明を眺めながら、路上の隅で夜風に当たっている。一人ではなく、自分が近しいと感じている人と。ああ、そうそう、こういう時間が欲しかったんだよ。脳髄がうなずく。それはもう何度も。

夜が更けていくにつれて、私の意識は閉じていくどころか開いていく。どこまでも深く潜れそうな気がするし、同時にどこまでも高く飛ぶこともできそうだ。空の果て、海の底、夜の闇、光る雨。なるほど美しいものも夜にしかない。

翌日になったら皆散り散りに地球のそれぞれの場所へ帰る。文字通り地球の裏側に住んでいる人もいる。次会えるのは半年後か、一年後か。ちょっと寂しくて、酸っぱい気持ちだ。けれど、一日だけの夜ふかしが私に魔法をかけた。明日からまた夜は眠るから。なるほど、魔法も、夜にしかない。