コスタリカにある国連平和大学(UPEACE: University for Peace)への留学や進学を考えている方へ。実際に現地で修士課程を学んだ私が、キャンパスの雰囲気(多様性)から、全員必修の授業カリキュラム(基礎講義や模擬国連)のリアルな実態まで詳しく解説します。

普段の旅行や生活の発信から「コスタリカで何してるの?」と聞かれることも多いですが、れっきとした大学院生として日々学んでいます。今回は、フィリピンのアテネオ大学編に引き続き、国連平和大学で「何を学んだか」を現役学生の視点でまとめました。

圧倒的な「多様性」に触れるキャンパスライフ

文字通り世界中から100人以上の学生が集まるキャンパスでは、十人十色の価値観が混ざり合います。話す言葉、ファッション、食べるもの、生活観、思想、宗教など、根本から違う環境は「これが多様性か」と途方に暮れるほどのバラエティに富んでいます。

環境保護を前提としたビーガン・ベジタリアンの多さ

特に驚いたのが、環境保護を理由にビーガンやベジタリアンになったという学生(主に西洋出身)が非常に多いことです。 日本ではまだ珍しいかもしれませんが、「肉や魚の生産には大量の二酸化炭素排出と水の消費が必要になるから野菜を食べる」というロジックが彼らの前提になっています。健康や体質だけでなく「環境保護のアクションとして食べ物を選ぶ」という価値観は、私にとって非常に新鮮でした。

授業中にも犬がいる?超ペットフレンドリーな環境

キャンパスは非常に開放的で、カフェテリアはコスタリカの街を見渡せる丘の上にあります。そこでは放し飼いのペット(犬)が当たり前のように歩き回っています。 「あの犬はあのアメリカ人の子のペット」「あの犬は先生の相棒」といった具合で、そこらじゅうに犬がいます。私は犬に対するアレルギーなどはないので問題ありませんが、授業中に足元で大きな犬が寝ている環境は、日本では考えられない新鮮な光景です。

強烈な「主義」と向き合うファシリテーションの難しさ

欧米出身の学生を中心に、フェミニズムなど特定の「主義」を強く持っている人が多いのも特徴です。女性の人権の話などでヒートアップする議論は、知らない観点を知る良い機会になります。 しかし、100人いれば100個の価値観があるため、自分の主義を公の場で強く押し付けてしまうことで摩擦が起きる瞬間もあります。多国籍な環境では、「お互いの違いを肯定しつつ、物事を前に進めるファシリテーション能力」がいかに重要かを痛感させられます。

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APSプログラム(アジア平和構築奨学金)の終了

ここで一つ残念なお知らせです。日本財団・アテネオ大学・国連平和大学による奨学金プログラム「APS(Asian Peacebuilders Scholarship)」は、2023年で応募終了となりました。 UPEACEはアメリカやヨーロッパからの学生が大多数を占めるため、アジア人は貴重なマイノリティでしたが、今後はキャンパスの雰囲気がガラッと変わってしまうかもしれません。

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国連平和大学の修士課程プログラムとスケジュール

3つの主要学部と私が「EDP」を選んだ理由

UPEACEの英語コースには、大きく分けて以下の3つの学部があります。

  • Department of Peace and Conflict Studies (平和・紛争学部)

  • Department of Environment and Development (環境・開発学部)

  • Department of International Law (国際法学部)

私はこの中から、環境・開発学部の中にある「Environment, Development, and Peace (EDP)」というコースを選びました。青年海外協力隊(JOCV)や企業での経験に一番マッチすることに加え、このコースが最も実地活動(Field Trip)が多く、座学以上の体験を重視している点が大きな決め手でした。

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1コマ3週間の集中スケジュール

UPEACEのスケジュールは、1コマ3週間を繰り返すシステムで、1つの授業に集中しやすくなっています。

  • 9月〜12月:第一学期

  • 1月〜4月:第二学期

  • 4月〜6月:第三学期

学期初めは午前・午後ともに授業がありましたが、課題は主に事前のリーディングと、授業終わりの簡単な意見・論文の提出です。形式張ったものではなく、自由に自分の考えを書くことが許される環境でした。午後に授業がない時期には週末に旅行に出かけるなど、コスタリカ生活を満喫することも可能です。

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全員必修!UPEACEのコアカリキュラムのリアル

UPEACE Foundation Course(基礎講義とディスカッションの壁)

学生全員が受ける必修科目で、「平和」の定義と「紛争解決」のメソッドを論理的に学びます。 午前中は、国際法、環境と食の安全、人権、メディア、ジェンダーなど、毎日先生が変わりながら基礎講義を受けます。ただ、たった3時間で各学問の基礎を網羅するのは少し難易度が高い側面もありました。

午後は博士課程の学生がファシリテーターとなり、少人数でディスカッションを行います。 ここで「日本の授業との違い」の壁にぶつかりました。誰かの話を遮って発言したり、自分の体験談を長々と話したりする学生がいる中、何が正解か分からなくなることも。しかし、価値観も常識も異なる学生たちとの意見交換は、間違いなく自分の視野と立ち位置を見つめ直す最高のトレーニングになりました。

THE UN SYSTEM AND UPMUNC(白熱の模擬国連とシステムのリアル)

もう一つの必修が、国連システムについて学ぶ授業です。国際法や国連組織の概要を学ぶ基礎知識の習得に加え、実際にUNDP(国連開発計画)で働いていた方のリアルな話を聞ける貴重な機会もありました。

特に印象深かったのが、各国の代表としてロールプレイを行う模擬国連(シミュレーション)です。「パレスチナ問題」をテーマに議論した際は、担当学生の欠席などで進行がグダグダになるハプニングもありました。しかし、国連職員であるチリ人のクラスメイトが見事な司会進行をしてくれたおかげで、常任理事国の「拒否権」の強さや、小国の声が反映されにくい世界の不平等性、そしてそれを支える複雑なシステムについて深く考えさせられました。

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まとめ:知識以上に「価値観の衝突と受容」を学ぶ場所

国連平和大学での生活は、単なるアカデミックな知識の習得にとどまりません。多様すぎる価値観との衝突、議論の難しさ、そしてそれをどう受け入れていくかという「生きた平和構築」を日常から学べる貴重な環境です。

次回は、私が専攻している環境(EDP)の専門授業について詳しくご紹介します!