はじめに:国際協力は文系?理系?どちらが向いてる?
「国際協力に関わりたいけど、文系と理系どちらの学部を選べばいいの?」
これは高校生・大学生からよく寄せられる悩みです。
実際、国際協力と聞くと「なんとなく文系っぽい」「でも医療や農業、インフラもあるから理系の方が有利なのでは?」と迷ってしまう人も多いと思います。
でも、国際協力に“正解の学部”はありません。
大切なのは、どんな切り口で国際協力に関わりたいか、自分がどんな関心や強みを持っているかです。
このページでは、文系・理系それぞれの代表的な進路と特徴、そして筆者自身の経験を踏まえながら、学部選びに役立つ情報をお伝えします。
文系学部から国際協力を目指す場合
代表的な学部:
- 国際関係学部
- 法学部
- 教育学部
- 外国語学部
- 文学部(社会学・人類学など)
特徴と強み:
- 国際情勢、歴史、教育、人権、政治などを学ぶことで、世界の構造や社会課題を捉える力がつく
- 語学やコミュニケーション力を活かして、現地の人々との対話や広報・教育など“人と関わる”分野で活躍
こんな職種に:
- JICA海外協力隊(教育系・コミュニティ開発など)
- NGO/NPO(広報・啓発・企画)
- 国連事務職
- ODA政策立案・アドボカシー
実体験から: 私自身も文系(英米語)の学部を出て、開発教育や広報の分野で協力隊として活動しました。
その後、外務省やNGOなどで文化・ODA関連の仕事に携わる中で、「相手の声を丁寧に聞き、届ける」ことに文系の学びが活かされていると感じています。
理系学部から国際協力を目指す場合
代表的な学部:
- 農学部
- 工学部
- 理学部
- 環境学部
- 医学部・看護学部
特徴と強み:
- 自然科学や技術系の知識を用いて、現場で課題解決するスキルが身につく
- 水・衛生・建設・農業支援・保健医療など専門性が求められる分野で活躍
こんな職種に:
- 技術系JICA海外協力隊(農業・建築・理数科教師など)
- 国際保健(保健師・助産師など)
- インフラ整備・災害復興支援
- 理系NGO(テクニカルアドバイザーなど)
理系同期の例: 農学部出身の知人は、インド村落部での農業技術普及支援を担当していて、現地の人と一緒に畑を耕し、収穫方法を指導していました。その後JICA職員として活躍しています。
自動車製造企業での経験をを持つ元エンジニアは、中央アジアで協力隊の自動車整備で活躍していました。
文理の違いより、「関心」と「継続力」がカギ
実は、私がJICA海外協力隊に参加した時にも、周りには多様なバックグラウンドを持つ仲間が集まっていました。
文系・理系問わず、自分の学びや経験をどう活かしたいかを明確に持っている人はとても輝いていました。
語学も大学院も、社会人になってからでも挑戦できます。私自身、大学卒業後に国連平和大学やフィリピン・アテネオ大学院に進学しましたが、文系出身でも論文や政策提言に苦しみながら、理系の仲間と刺激を与え合うことで成長できました。
大切なのは、「文理どちらが有利か」ではなく、 「あなたが何に関心があり、どんなアプローチで人の役に立ちたいか」です。
まとめ:学部選びに迷うあなたへ
文系=人に寄り添う、考えを発信する、現地の声を届ける役割に向いている
理系=課題を“技術”で解決し、具体的な形で支援する力に長けている
どちらの学部でも、国際協力の道は拓けます。
「自分には関係ないかも…」と思わず、 まずは目の前の学びや経験を大切に。
そして、関心のあるテーマを深掘りしながら、 “あなただけの国際協力のかたち”を見つけてください。