【はじめに】国際協力の仕事ってなに?
国際協力の仕事とは、世界中の困っている人たちを助ける仕事のことです。食べ物が足りない国や、病気が広がっている地域、学校に行けない子どもたちがいる場所など、さまざまな問題を解決するために、日本を含めた多くの国の人たちが協力しています。
この仕事は、現地に行く人、支援を届ける人、日本で活動を広める人など、役割によっていろんな種類があります。この記事では、初心者の方でも理解しやすいように、現場・支援・広報の違いや仕事の種類について分かりやすく解説していきます。
国際協力の仕事の種類とは?
国際協力には、さまざまな役割があります。大きく分けると、以下の3つに分類できます。
- 現場で働く人:開発途上国などで、直接人々を支える仕事
- 支援を届ける人:お金や物資を集めて、現地へ届ける役割
- 広報や教育をする人:日本国内で活動を広めたり、支援者を増やす仕事
例えば、現地で井戸を作ったり、学校を建てたりする人は「現場型」の仕事です。一方、募金活動やイベントを通じて支援を呼びかけるのは「支援型」や「広報型」となります。
それぞれがバラバラに動くのではなく、力を合わせて、世界を少しずつ良くしていくのが国際協力の仕事なのです。
現場で活躍する仕事の魅力と現実
現場での仕事は、最も「国際協力らしい」と言われることが多いです。実際に開発途上国で人と接し、暮らしを支える仕事は、大きなやりがいがあります。
【代表的な仕事例】
- JICA海外協力隊(ボランティア)
- NGO/NPOのフィールドスタッフ
- 国際機関の現地職員(例:UNHCRやUNICEF)
これらの仕事は、語学力や専門知識が求められることも多く、長期滞在や文化の違いへの理解が必要になります。
私は学生時代、「何者にもなれない」という気持ちを抱えていました。勉強はあまり得意ではなく、人付き合いも苦手。
でも「ただ海外で働いてみたい」という強い思いだけは持っていました。運良く協力隊としてアフリカに行けたとき、最初は語学や生活に慣れることに精一杯でした。
でも少しずつ、ご近所の人との挨拶や世間話の大切さに気づき、「自分が何をしたいか」ではなく「誰と、どんな風に過ごすか」が仕事をする上で大切だと学んだのです。
【現場の仕事で大切なこと】
- すぐに完璧を目指さない
- 日常の会話を大切にする
- 自分だけでなく周りと協力する
現場での仕事は、人とのつながりを大切にできる人にぴったりです。
国際協力の現場で問われるのは、「専門性」だけじゃない
もちろん、最初から現地の言葉を使いこなしたり、チームワークを完璧に発揮できる人なんて、いません。むしろ、学生時代のサークル活動やアルバイト、社会に出て失敗した経験などの一つひとつが、「社会で生きる自分らしさ」をつくっていくのだと、私は実感しています。
正直に言えば、私は学生時代、何者にもなれない自分に焦りを感じていました。勉強も人並み以下で、人付き合いも積極的なタイプではありませんでした。ただ、「海外で働いてみたい」という思いだけは強く持っていて、その熱意と、周囲の理解があったおかげで、幸運にもアフリカで協力隊として活動する機会を得ました。
当時は、語学を磨くことや、与えられた仕事を一つでも多くこなすことで精一杯。自分の学びを深めることに夢中でした。でも、時間が経つにつれ、近所の人たちとの雑談や、何気ない地域行事への参加が、実は仕事のヒントや安心感をもたらす鍵になっていることに気づきました。自分ばかりに向いていた関心が、やっと周囲に向けられるようになったのは、30代に差しかかる頃だったと思います。
そんな経験を通して、「国際協力は、誰かのためにすること」でもありますが、同時に「人と人とのつながりを通じて、自分自身が育つ場」でもあるのだと、感じるようになりました。
支援や資金調達の仕事も重要
国際協力の仕事というと、現場の活動ばかり注目されがちですが、実は「支援を集める仕事」もとても重要です。
【主な仕事内容】
- 募金活動やクラウドファンディングの運営
- 企業との協力を取りつける
- 支援物資の管理・発送
私は現在、日本のNPOでフルリモート勤務をしています。かつては海外を転々としていましたが、
30代になって家族のことも考えるようになり、長期で海外に行くのは現実的ではなくなりました。
それでも今、国内から国際協力に関わることができています。特に、ファンドレイジング(資金集め)はNPO活動の命です。
多くの支援者に団体の活動を知ってもらい、共感してもらうことがとても重要なのです。
【支援の仕事に向いている人】
- 人に伝えることが好き
- 数字やお金の管理が得意
- コツコツ作業するのが好き
海外に行けない人でも、国内でできることがたくさんあると知っておくと、選択肢が広がります。
「海外で働く」だけが国際協力じゃない
また、国際協力の仕事は、必ずしも海外でなければできないわけではありません。
近年は特に、リモートワークの普及や情報発信の多様化により、日本国内から国際協力に関わる選択肢も増えています。
私自身、20代は海外を転々としながら仕事をしていましたが、
30代になると、自分の人生だけでなく、家族のことも考えるようになり、長期の海外生活はしばらく保留にしようと決めました。
現在は、国際協力系NPOでフルリモート勤務をしています。海外で活躍する方々の声を日本で伝える役割を担っていますが、これも立派な「国際協力」だと実感する日々です。
特にNPOでは、支援金によって活動が成り立っているため、国内での広報やファンドレイジング(資金調達)の重要性はとても高いと感じています。
つまり、物理的に海外に行かずとも、国際協力に関われる方法は確実に存在します。これは、海外に行くことが難しい方にとっても、知っておいて損はないポイントです。
広報や啓発の仕事の役割とは?
国際協力を続けていくためには、「多くの人に知ってもらうこと」が欠かせません。その役割を担うのが「広報」や「啓発」の仕事です。
【具体的な仕事】
- 活動報告の執筆・SNS更新
- イベントの企画・運営
- 写真や動画による伝達
私はモロッコの日本大使館で、日本文化を伝えるイベントの企画を担当していました。東京の本省に対して、どんなイベントにするかを具体的に説明しなければ予算が出ないため、丁寧な準備が必要でした。
一方で現地の希望は、「有名な漫画家を呼びたい」「日本食をふるまいたい」など、費用を考えていないことも多々あります。そうした中で、本省と現地との間でバランスを取ることが求められました。
また、個人としてもモロッコで写真展を行い、日本の風景を紹介しました。これは友人が美術館の学芸員だったことから始まった偶然の機会でしたが、メディアでも大きく取り上げられ、広報の力を肌で実感できた経験です。
「伝える力」は、どこでも生きる
私が以前勤めていたモロッコの日本大使館では、現地の方々に日本文化や日本語を知ってもらうためのイベントを企画していました。
文化イベントといっても、実現するには本省(東京)への予算申請が不可欠で、目に見えない現地の状況を、いかに具体的かつ効果的に伝えるかが毎回の勝負でした。
さらに、現場では「日本の有名作家を呼びたい」「日本食の試食会を開きたい」といった希望が次々と寄せられ、限られた予算とのバランスを取るのが至難の業でした。
「やりたいこと」と「できること」の妥協点を見つける力は、この経験を通じてかなり鍛えられたと思います。
そしてこれは、現在NPOで資金や人材に限りがある中で活動を進める際にも、大いに役立っています。
また、文化を伝えるという点では、個人としてモロッコの美術館で日本の写真展を開いた経験もあります。これは、たまたま学芸員の友人がいたことがきっかけでしたが、予想以上に多くの方に来場いただき、現地メディアにも取り上げられました。この経験は「広報」の可能性を肌で感じる、貴重な機会になりました。
国際協力の仕事は未経験でもできる?
「国際協力は難しそう」「未経験では無理」と感じる方も多いかもしれません。でも実際は、誰でも最初は初心者です。
【未経験でも大丈夫な理由】
- ボランティアやインターンなどから始められる
- 語学力や経験より「やる気」が大事
- 国内でも関われる仕事がある
私自身、勉強も人並み以下、社交的でもなかったですが、周囲の助けがあって協力隊に参加できました。そして少しずつ、自分なりに「国際協力に関わる方法」を見つけてきたのです。
大切なのは、どこから始めるかではなく、「どう続けるか」。まずはできることから挑戦してみましょう。
国際協力の仕事を目指すなら今すぐ行動!
もし「国際協力の仕事が気になる」と思ったなら、今すぐにでも行動を始めてみることをおすすめします。
【具体的なアクション】
- NGOやNPOのボランティアに参加する
- オンラインで国際協力の講座を受ける
- 海外ニュースや途上国の問題を日々チェックする
また、国際協力関連のイベントやオンラインセミナーなども頻繁に開催されています。そうした場に参加することで、仲間やチャンスが見つかる可能性が高まります。
迷ったまま時間が過ぎてしまうよりも、「やってみること」こそが最初の一歩になります。
【まとめ】国際協力の仕事は多様で誰でも関われる
国際協力の仕事には、
- 現場で人を助ける仕事
- 支援を集めて届ける仕事
- 活動を広める広報の仕事
など、さまざまな種類があります。
語学力や経験がない人でも、やる気と工夫で関われる方法がたくさんあります。
この記事を読んで、「自分にもできそう!」と思えたなら、もうあなたの一歩目は始まっていると言えるでしょう。
応援しています!!!
※参考:
- 外務省「国際協力とは」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/index.html
- JICA「国際協力の現場から」https://www.jica.go.jp/
- NGO相談員「国際協力キャリアガイド」https://www.gfjapan.com/