こんにちは。JICA海外協力隊としてアフリカで2年、その後コスタリカの大学院へ留学した、おぽきょです。
「海外に行けば、人生が変わる」 「留学すれば、グローバル人材になれる」
そんなキラキラした言葉を、あなたも一度は聞いたことがあるかもしれません。 しかし、私自身の経験から断言できるのは、海外生活は、決して楽しいことばかりではない、ということです。

この記事では、これから留学や海外インターンに挑戦するあなたが、「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、私が現地で直面した5つの厳しい現実と、それを乗り越えるための具体的な対策を、正直にお話しします。
事前に知っておけば、トラブルを減らし、あなたの海外経験を、本当に価値あるものに変えることができるはずです。
Contents
現実1:語学力だけでは、全く通用しない
意外かもしれませんが、海外で最も難しいのは「言葉」そのものではありません。 たとえ現地の言葉が話せても、文化的な常識や価値観の違いを理解していなければ、深刻なトラブルに発展することさえあります。
私はコスタリカの大学院時代、日本の感覚で「空気を読んで」あまり発言しなかったところ、教授やクラスメイトから「意欲がない」「自信がない」と誤解されてしまいました。良かれと思った「謙虚さ」が、海外では「無能さ」の証明になってしまったのです。
- 対策:
- 「結論から、はっきりと」話す訓練をする。
- 現地のビジネスマナーや、宗教上のタブーを事前に調べておく。
- 言葉以上に、笑顔やジェスチャーで「あなたと仲良くなりたい」という意思を示す。
語学はあくまで道具。大切なのは、その言葉で「何を、どう伝えるか」なのです。
現実2:「お金」の問題は、想像以上にシビア
海外での生活には、想像以上にお金がかかります。学費や渡航費だけでなく、現地の高い物価や、予期せぬ医療費など、出費は後を絶ちません。
私自身、コスタリカは日本より物価が安いだろうと高を括っていましたが、実際は首都の生活費は東京と変わらず、奨学金だけでは全く足りませんでした。結局、なけなしの貯金を切り崩しながらの、ギリギリの生活でした。
- 対策:
- 奨学金制度を、血眼になって探す。 日本学生支援機構(JASSO)だけでなく、各大学や財団独自の制度も必ずチェックしましょう。
- クレジットカードを複数枚用意しておく。 VISAとMastercardなど、異なるブランドを2枚以上持っていくと、万が一の時に命綱になります。
- 【お金のリアル】資産運用で「円安リスク」に備える。 私が今、外貨預金や全世界株式への投資を続けている理由の一つは、この時の「円の価値は、絶対ではない」という痛烈な体験があるからです。海外に出るなら、資産の一部をドルなどの外貨で持っておくことは、もはや必須の知識です。
現実3:あなたは「お客様」ではなく、ただの「外国人」
海外では、人間関係をゼロから、完全にアウェイな状況で築く必要があります。言葉も文化も違う中で、本当の信頼関係をつくるのは、簡単なことではありません。
私もカメルーンで活動を始めた当初は、会話に入れず、誰にも必要とされていないような、強烈な孤独感に襲われました。 しかし、毎日しつこいくらい挨拶をし、自分から「教えてください」と頭を下げることで、少しずつ彼らの輪の中に溶け込むことができました。
- 対策:
- プライドを捨てる。 「自分は、何も知らない子どもだ」という謙虚な気持ちで、周りの全てから学ぶ姿勢が大切です。
- 日本の常識を押し付けない。 時間にルーズでも、約束を忘れても、それが彼らの文化。「そういうものだ」と受け入れる心の余裕が必要です。
- GIVEの精神を忘れない。 何か小さなことでも、自分が相手に提供できる価値(日本語を教える、日本料理を振る舞うなど)は何か、常に考えましょう。
現実4:「成長」は、自動的に手に入るものではない
「海外に行けば、勝手に成長できる」というのは、幻想です。何を得られるかは、完全にあなた自身の行動次第です。
ただ海外にいるだけでは、何も起こりません。 逆に、日本人コミュニティとだけ付き合い、日本のものばかり食べていれば、そこはもう「海外」ですらありません。
- 対策:
- 渡航前に「これを達成する」という具体的な目標を3つ、紙に書き出す。
- 「日本では絶対にやらないこと」のリストを作り、一つずつ挑戦してみる。
- 失敗を恐れない。 むしろ、「最高の失敗談を、日本へのお土産に持ち帰ってやろう」くらいの気持ちで、どんどん恥をかきましょう。
海外だからこそできる経験を、自分で掴みに行く。その貪欲な姿勢だけが、あなたを成長させてくれます。
現実5:「海外経験」は、日本での就職に直結しない
帰国後、多くの人が直面するのが、「浦島太郎」状態です。海外での貴重な経験が、必ずしも日本社会で高く評価されるとは限りません。
私自身、大学院留学後の就職活動で、「海外経験=即戦力」ではないという現実に直面しました。日本企業が求めるのは、その経験を通じて「どんなスキルを身につけ、どう会社に貢献できるのか」を、論理的に説明する力です。
- 対策:
- 留学中から、日本の就活サイトやニュースに目を通しておく。
- 海外経験を、具体的な「スキル」や「実績」として語る訓練をする。(例:「多様な価値観を持つチームで、〇〇というプロジェクトを成功させた」など)
- JICA PARTNERのような、国際協力キャリアに特化した求人サイトを活用する。 ここには、あなたの経験を正しく評価してくれる企業が集まっています。

まとめ|「現実」を知ることは、最強の「準備」である
この記事で紹介した5つの現実は、あなたを怖がらせるためのものではありません。 むしろ、これらを事前に知っておくことで、あなたは他の誰よりも賢明な準備ができ、現地でのトラブルを最小限に抑え、経験価値を最大化することができるのです。
海外経験は、あなたの人生を、間違いなく豊かにしてくれます。 「現実」という名のコンパスを手に、最高の冒険へと、一歩踏み出してみてください。
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