こんにちは。JICA海外協力隊として「現場」を、在モロッコ日本国大使館で「政策」を、そして現在はNPOでその「両方」を繋ぐ仕事をしている、おぽきょです。
「国際協力」と一言で言っても、その関わり方は様々です。
あなたは、 A:社会の「仕組み」や「ルール」を変えることで、国全体に影響を与えたいですか? それとも、 B:目の前の「一人の人生」や「一つの村」に、直接寄り添い、変化を生み出したいですか?
これは、国際協力における「マクロ(森全体を育てる)」な視点と「ミクロ(一本一本の木を育てる)」な視点の違いです。
どちらが優れている、というわけではありません。しかし、あなたがどちらのタイプかを知ることは、後悔しないキャリアを選ぶ上で、非常に重要な「羅針盤」となります。
この記事では、私の実体験を元に、「マクロ」と「ミクロ」それぞれの仕事の魅力と現実を、具体的な組織の役割と共に、徹底的に比較・解説します。
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Contents
「マクロな国際協力」とは? – 森全体を育てる仕事
マクロな国際協力とは、政策決定や、国同士の外交、大規模な資金援助などを通じて、社会の「仕組み」そのものに働きかけるアプローチです。影響は広範囲に及びますが、その成果が目に見えるまでには長い時間がかかります。
- 代表的な組織: 外務省、国連、JICA(本部職員)、世界銀行など
- 仕事のイメージ:
- 日本のODA(政府開発援助)予算の使い道を決定する
- 開発途上国政府と、新しいプロジェクトの計画を練る
- 国際的な課題(環境問題、人権問題など)に対する、国家としての方針を定める
- 求められるスキル: 高い語学力、データ分析能力、交渉力、そして大局観
- 私の体験談: 私が在モロッコ日本国大使館で専門調査員として働いていた時、まさにこの「マクロ」な視点が求められました。現地のニーズを調査・分析し、日本の政策として、どのような支援が最も効果的かを考える。一つの判断が、国レベルの大きな予算や、多くの人々の未来に関わる、非常にダイナミックで、責任の重い仕事でした。
「ミクロな国際協力」とは? – 一本一本の木を育てる仕事
ミクロな国際協力とは、現場の最前線で、地域の人々と直接関わりながら、草の根レベルで課題解決に取り組むアプローチです。成果は小さいかもしれませんが、その手触り感と、人と人との深い繋がりは何物にも代えがたいものです。
- 代表的な組織: NGO/NPO、JICA海外協力隊など
- 仕事のイメージ:
- 村の女性たちと一緒に、新しい収入源となる手工芸品を作る
- 学校の先生たちと、子どもたちが楽しく学べる新しい教材を開発する
- 地域住民と対話を重ね、必要な井戸の場所を一緒に決める
- 求められるスキル: 現地語、異文化理解力、コミュニケーション能力、そして何より「人間力」

【比較表】あなたは「森」と「木」、どちらを育てたい?
あなたのタイプを知るために、2つのアプローチを比較してみましょう。
「マクロ」と「ミクロ」は繋がっている:私のキャリアが証明するもの
最後に、最も大切なことをお伝えします。 それは、マクロとミクロは、対立するものではなく、互いに補完し合う、一つの生態系(エコシステム)だということです。
マクロな政策(森の方針)がなければ、ミクロな活動(木を植える活動)は持続しません。 逆に、ミクロな現場(木々の状態)を知らなければ、効果的なマクロ政策(森の育て方)は作れません。
そして、キャリアにおいても、この両方を知ることは、あなたをより強く、ユニークな人材にしてくれます。

まとめ:あなたの「心」が、どちらにワクワクするか?
国際協力のキャリアを選ぶことは、あなたが「どんな世界を実現したいか」を選ぶことです。
壮大な森の設計図を描くことに、あなたの心は躍りますか? それとも、一本の若木に水をやり、その成長を見守ることに、愛しさを感じますか?
そこに、優劣はありません。 あるのは、あなたの心がどちらにワクワクするか、という違いだけです。
この記事が、あなたの心の声に耳を澄まし、自分だけの「羅針盤」を見つける、その一助となれれば幸いです。
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